泌尿器科

主な治療内容と診療方針

泌尿器科の専門とする主な臓器は、腎・尿管・膀胱・前立腺・尿道・男性生殖器などです。泌尿器科の病気で多いのは、尿路感染症(膀胱炎や腎盂腎炎など)、尿路結石(腎・尿管・膀胱結石)、排尿障害(前立腺肥大症、過活動膀胱、神経因性膀胱など)などの良性疾患と尿路性器がん(腎臓がん、膀胱がん、前立腺がんなど)があります。近年、高齢者社会の進展とともに、高齢男性おいては前立腺肥大や前立腺がんが急増しております。女性においても、頻尿や排尿障害も加齢ともに増加します。当院泌尿器科では、一般泌尿器疾患の外来診療とともに、とくに前立腺疾患(がんと肥大症)と尿路がんに重点を置いて診療しております。

泌尿器科受診のポイント

  • おしっこに血が混じることは、とくに重要な症状です。腰痛などの症状がある場合は尿路結石が疑われますが、無症状の場合は膀胱がんなどの尿路がんの可能性もあります。一度でも見た目に血尿が出た(肉眼的血尿)場合には、必ず泌尿器科を受診してください。
  • 最近、急増している前立腺がんの早期発見にはPSA検診という血液検査が有用です。当院では、「前立腺PSA検診外来」という専門外来を開設しておりますので、ご利用ください。

前立腺がんPSA検診のご案内

前立腺がんは、年齢が高くなるにつれて増加するため、近年の高齢化社会の進行に伴い急速に増加しております。とくに65歳以上の男性においては、胃がん、肺がんを抜いて一番多いがんとなっております。一方、死亡率は診断と治療法の進歩により減少傾向にありますが、2016年には約1万人の方が亡くなっています。
前立腺がんは、ほとんど自覚症状が無く、ひそかに進行します。早期に発見する方法は、PSA(前立腺特異抗原)の採血検査しかありません。このPSA検査は少量の血液で検査ができ、下図に三重大学腎泌尿器外科の統計(2008年から2018年まで857人のPSA検査結果)をお示ししますが、PSA値4から10までのグレーゾーンと呼ばれる比較的低値でも約40%の検出率であり、20以上では90%の確率でがんが検出されます。

このようにPSA検査は鋭敏で有効な検査ですが、PSA値が上昇しない2−3%のがんの診断ができない欠点もあります。PSA検査の基準値は4ng/mlですが、4を超える方は精密検査をお勧めします。精密検査としては、以前はすぐに前立腺生検(細い針を刺して組織を採取する方法)を施行しておりましたが、最近ではまず侵襲の少ない、腹部からの膀胱・前立腺エコー検査と前立腺MRIによる画像診断を行います。そして、がんの疑いが強い場合にのみ、前立腺生検をすることにより、生検による合併症などの不利益をできる限り回避するようにしております。
前立腺がんの生涯罹患リスクは、2025年には15%(6−7人に1人)になると予測されております。前立腺がんは、早期発見により非常に良好な予後が得られます。50歳を過ぎれば、まず一度はPSA検査を受けていただき、ご自分のPSA値(基礎値)を知る事が重要です。たとえ基準値以下のPSA値でも年齢に比してPSA値が高い方は、定期的なPSA測定による経過観察が必要です。このように、前立腺がんPSA検診は、受診者の年齢が最も重要な要素であり、各個人に最適な検診方法(オーダーメイド検診)が必要です。十分にPSA検診の意義(利点と欠点)をご理解いただいた上で、検診を受けられることをお勧めします。
当院では、2019年4月より, 毎週金曜日午後、泌尿器科外来にて専門医による「前立腺PSA検診外来」(予約制)を開設しておりますので、既にPSA値の異常を指摘されておられる方、これからPSA検診を受けられる方も、お気軽に受診していただければ幸いです。

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